
新型コロナウイルス感染症に
対するMBLの取り組み
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と闘うために
MBLは1969年に日本初の抗体メーカーとして設立されました。
現在は免疫学的技術、遺伝子検出技術を駆使し、臨床検査薬及び基礎研究用試薬の研究・開発・製造・販売を行っています。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が世界的に急速な拡大を見せる中、人々の健康と医療の発展に貢献することを使命として、MBLグループが所有するリソースを最大限に活用しこの脅威に立ち向かっていきます。
コロナウイルス感染症と
抗原検査・PCR検査・抗体検査
新型コロナウイルスについて
ヒトに感染するコロナウイルスは7種類あります。このうち4種類は昔から存在する風邪の原因となる、ごく一般的なウイルスです。残りの3種類は、2002年に出現したSARSコロナウイルス(SARS-CoV)、2012年に出現したMERSコロナウイルス(MERS-CoV)、そして今回2019年12月に初めて感染が確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)です。SARS-CoV-2に感染しても多くの方は無症状か軽症で治まりますが、一部の患者さんにおいては症状が長期化し、急速に悪化することがあります。
パンデミックが世界を震撼させるなか、研究者たちは日夜、診療法を開発し続けてきました。最先端科学で生まれたRNA型ワクチンはその効力が迅速に実証され、多くの人々の命を救っています。また有効な経口薬も次々と開発され、利用が広まっています。しかしその一方でSARS-CoV-2は変異を繰り返し、我々の手から常に逃れようとしています。効果や汎用性がより高い治療薬や高性能かつ簡易な検査法など、さらなる改良や画期的な診療技術の登場が待ち望まれています。
出典元:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
新型コロナウイルス感染症の検査法
新型コロナウイルス感染症の検査はいろいろ方法があってよくわからないとの声を伺います。そこで各検査方法の目的と特徴についてまとめました。
測定対象 | 説明 | 何を調べるか | 測定方法 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
遺伝子 | 新型コロナウイルスの設計図 | いま感染してるか | PCR法、 LAMP法 | 〇 特異度高い。簡易抗原測定法より高感度 × 適正時期は発症から2週間まで |
抗原 | 新型コロナウイルスを形作るタンパク質 | いま感染してるか | イムノクロマト、 自動測定装置 | 〇 迅速。便利。簡易テストもある × PCRより感度が劣る場合がある |
抗体 | 感染後に身体が反応して作るタンパク質 | 過去感染したか | イムノクロマト、 ELISA、自動測定装置 | 〇 高感度。感染後期にPCRを補完 × 感染初期は検出されない |
中和抗体 | 抗体のうち、ウイルス感染や重症化の防御に働く抗体 | 抗体による免疫力 ワクチン効果 | イムノクロマト、 ELISA、自動測定装置 | 〇 ウイルスを使わない安全なキットや自動機あり × ウイルスを用いた試験法の代替法である |
T細胞 | 免疫細胞の一種。ウイルス感染細胞を攻撃する力がある | 抗原特異的T細胞の数 | MHCテトラマ― | 〇 抗原特異度が高い × HLA型毎に準備が必要 |
サイトカインや細胞傷害性因子など | T細胞が感染細胞を攻撃するときに使う武器(インターフェロンや細胞傷害性因子など) | T細胞による免疫力 | ELISA、ELISPOT | 〇 簡便。多検体向き × 抗原特異度に欠ける場合がある |
感度:ウイルス感染した人のうち、何人を陽性と判定できるかの割合。
特異度:ウイルス感染していない人のうち、何人を陰性と判定できるかの割合。
抗原検査について
抗原検査は、新型コロナウイルスの構成成分であるタンパク質をウイルスに特異的な抗体を用いて検出する検査方法です。
主に“いま感染しているか”を調べるときに利用されます。
イムノクロマトのような簡易検査キットを用いることで、特別な検査機器がなくても迅速に結果を知ることができるため、家庭での日常的なセルフチェックやPCR検査が利用できない施設や地域における検査として活用できます。
PCR検査について
PCR検査は、いまウイルスが体内にいるのかを調べる遺伝子検査です。ウイルスも遺伝子を持っており、PCR検査ではウイルスだけが持っている特徴的な遺伝子の配列を人工的に増幅させて検出します。そのため、少ない量のウイルス遺伝子も検出できます。
ただし、PCR検査の感度にも限界があります。たとえばウイルスが身体の中に数個しかいない場合にはPCRでも検出できないこともあり、PCR検査で陰性であっても、ウイルスが体内から完全に居なくなっていない場合も想定されます。そのため、PCR検査を繰り返し実施するなど、臨床の最前線では慎重な検査が続けられています。
抗体検査について
抗体は身体の中をパトロールしている免疫細胞から産生され、体内に侵入したウイルスやがん細胞などの異物と特異的に反応し、これらを無毒化・攻撃する物質です。
ウイルスに対するワクチンを接種すると、ウイルスを構成するタンパク質が体内に作られ、あるいは体内に入るため、これらのウイルスタンパク質に対する抗体が作られます。とくにウイルスがヒトへ感染することを防ぐ力のある抗体は「中和抗体」と呼ばれます。ワクチン効果を期待する際、この中和抗体が身体にたくさん出来ていることがひとつの大事な指標となります。ウイルスに対する抗体検査においては感染履歴を調べる目的で行われるとともに、最近ではワクチン接種における効果検証においても広く活用されています。
MBLの取り組み
- ※注意事項
- 下記に掲載されている製品情報は医療関係者・研究者の方を対象としております。
新型コロナウイルスの抗原タンパク質を検出する イムノクロマト検査キット
MBLではコロナウイルス抗原検査の簡易キットを販売しています。操作手順は簡便で結果も迅速に得られます。
SARSコロナウイルス抗原キット
GLINE-2019-nCoV Agキット
体外診断用医薬品として厚生労働省による認可を受けた新型コロナウイルス抗原検査の簡易キットです。「鼻腔ぬぐい液」または「鼻咽頭ぬぐい液」が検査の対象検体となります※。
キット付属のスワブを用いてご自身で鼻腔より検体を採取し、ご家庭での検査が可能です。
新型コロナウイルスの感染が拡がるなか、体調が気になる場合にセルフチェックとしてご利用いただけます。
※一般用キットの対象検体は「鼻腔ぬぐい液」のみです。詳しくは以下の詳細情報(一般用)をご覧ください。
新型コロナウイルスを検出する PCR試薬
子会社のG&Gサイエンス株式会社が保有する遺伝子検査試薬の開発技術を活かして、短期間で高性能なリアルタイムPCR試薬を発売しました。開発にあたっては国立感染症研究所と連携し、操作性に優れたキットに仕上げています。
詳細情報
国立医薬品食品衛生研究所「COVID-19診断用核酸増幅検査薬一斉試験の結果報告」
「COVID-19診断用核酸増幅検査薬一斉試験」MBL試験データ
新型コロナウイルスに対する 抗体の測定試薬
新型コロナウイルスに感染する、あるいはワクチンを接種すると、感染防御のためにウイルスに対して様々な抗体が作られます。ウイルスのスパイクに対する抗体の一部は中和抗体として機能し、ヒト細胞受容体への結合を阻害することによりウイルス感染を防御します。
MBLでは抗スパイク抗体の機能を評価するための中和抗体測定試薬と、新型コロナウイルス感染の有無を確認するための抗体測定試薬を販売しています。
STACIA® SARS-CoV-2 Neutralization Antibody Test
※全自動臨床検査システム「STACIA®」専用試薬
MBLは慶應義塾大学医学部との共同研究により、全自動臨床検査システム「STACIA®」専用の新型コロナウイルスに対する中和抗体の評価アッセイ試薬を開発しました。
測定時間は、サンプリングから結果出力まで19分以内と短く、多検体処理にも優れています。
iFlash-2019-nCoV NAb
※iFlash 1800/3000 専用試薬
MBLでは、中国YHLO社(深圳市亚辉龙生物科技股份有限公司)の測定試薬と測定機器を日本国内向けに導入販売しています。YHLO社は、中国、欧州などで体外診断用医薬品を販売する有名な体外診断用試薬・機器メーカーです。
iFlash-2019-nCoV NAbは被検者の体内に中和活性を有する抗体があるかどうかを調べるキットで、全自動化学発光免疫測定(CLIA)装置iFlash 3000あるいはiFlash 1800専用試薬です。
iFlash-SARS-CoV-2 IgM/iFlash-SARS-CoV-2 IgG
※iFlash 1800/3000 専用試薬
MBLでは、中国YHLO社(深圳市亚辉龙生物科技股份有限公司)の測定試薬と測定機器を日本国内向けに導入販売しています。YHLO社は、中国、欧州などで体外診断用医薬品を販売する有名な体外診断用試薬・機器メーカーです。
iFlash-SARS-CoV-2 IgMおよびiFlash-SARS-CoV-2 IgGは、それぞれ感染により作られた新型コロナウイルスに対するIgM型抗体とIgG型抗体を検出する試薬です。
※本試薬はワクチン接種の効果確認などのウイルス中和抗体の測定には適していません。
詳細情報
iFlash 1800紹介動画
使用文献リスト(資料ダウンロード)
iFlash機器設置に関するお問い合わせ
国立医薬品食品衛生研究所「新型コロナウイルスに対する抗体検査キットの一斉性能評価試験に関する報告」
衛生検査所としての取り組み
新型コロナウイルスのPCR試薬を迅速に開発したG&Gサイエンス株式会社は衛生検査所機能(福島県第33号)を持ちます。2020年12月1日、福島市と新型コロナウイルス感染症対策における検査体制の強化及び連携を図るための協定を締結いたしました。
研究機関との取り組み
「新型コロナウィルス抗体検査機利用者協議会幹事会」への支援
新型コロナウィルス抗体検査機利用者協議会幹事会(本会)は、新型コロナウイルスの根絶を目的とし、精密な抗体検査を確立・普及させることを目指し設立されました。
新型コロナウイルスについては医学医療の上で未解明な点も多く、本会は各機関での自主的・創造的な取り組みを尊重し、支援する任意団体です。
MBLは本会にオブザーバーとして参加し、試薬の導入元であるYHLO社との窓口や学術支援を担当しています。
東京大学 児玉 龍彦 先生によるコラム
「エラーカタストロフの限界」を超えるコロナウィルス変異への対応
「正しく恐れるために」抗体検査ができること