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癌関連診断薬の開発

 当社は自己免疫疾患の診断薬のメーカーとして実績を残してきましたが、次の診断薬の重点分野としては癌をターゲットとして開発を進めております。現在、よく使用されている癌のマーカーであるCEA、AFP、CA19-9などはどれも1960年代から70年代にかけて開発されたものです。それ以来、開発された癌マーカーがないわけではありませんが、上記の3マーカーの牙城を脅かすには至っておりません。これらのマーカーの開発後50年の間に分子生物学は爆発的な発展を遂げましたが、少なくとも癌マーカーに関しては、現代医学の基礎を築いてきた分子生物学の恩恵をまったく受けていないことになります。しかし、逆に考えれば、いまや癌の分子生物学の成果に依拠した次世代癌診断薬開発の機は熟していると思われます。こうした認識に基づいて、当社は癌診断薬の開発に注力しています。

p53自己抗体検出キットの開発

 当社のコア技術は、自己免疫疾患の患者血液中の抗原特異的自己抗体を検出するところにあります。この強みを生かして、癌患者の血液中の癌特異的抗原に対する自己抗体を測定することによって、癌を診断する測定キットを開発しております。癌抑制タンパク質として非常に有名なp53に対する自己抗体はある種の癌患者の血清中にかなりの高頻度で検出されます。当社が開発した、血清中の抗p53抗体を測定するELISAキット、MESACUP™ anti-p53テストは、千葉大をはじめとする全国多くの医療施設での臨床テストに基づき、2006年に国から食道癌、乳癌、大腸癌の自己抗体検出を行う初めての診断薬として製造承認を受け、販売されています。このキットは、これらの癌の早期診断に有用であると考えられます。

新規な癌自己抗体検出キットの開発

 各種の調査の結果、各種の癌の約半数がp53に突然変異を有することがわかっています。変異したp53は癌抑制作用を示さず、正常なp53の代謝回転が速いのに反して、分解されにくく、細胞内に蓄積します。蓄積した変異p53が細胞死などの結果、細胞外に出ると、免疫機構が異物として認識し、抗p53抗体を産生します。このように、p53に変異が生じることと、癌が発生することには、強い因果関係があるので、p53自己抗体は、初期癌の診断が可能となることが考えられます。臨床試験の結果、他の癌マーカーが癌のステージが進むにつれて、陽性率が上るのに対して、p53自己抗体は初期癌においても、ある程度の陽性率を示すことがわかりました。ところが、p53自己抗体の陽性率は、30%程度に留まったまま、癌のステージが進んでも、あまり変わりありません。これは、p53の変異を伴わない癌(例えば、別の癌抑制タンパク質Rbの変異など)が、約半数存在することと関連あるものと考えられます。したがって、p53自己抗体検出キットを補完する新たな癌自己抗体検出キットの開発を進めています。
 これまでに当社は、SEREX法を利用して癌に特異的な自己抗体を選抜してきました。その多くの癌自己抗体の中から、p53自己抗体の検出では出来なかった癌の診断に有望な癌自己抗体を特定化できました。これら有望な癌自己抗体は、p53変異メカニズムとは異なる発癌化機構に関連する分子に対する自己抗体であるので、p53自己抗体が検出されない癌患者において検出されるという特徴があります。上述のような有望な癌自己抗体とp53自己抗体を組み合わせて検出する測定系を構築し、p53自己抗体単独の場合よりもさらに癌患者での検出率の高い癌自己抗体パネル診断薬の開発を行っています。現在の実験結果では、食道癌に対して検出率60%以上の優れた癌自己抗体の組み合わせ測定系が完成されてきており、今後は、臨床試験を行い、既存の癌マーカーに比べて癌の早期発見に有用であることの確認をおこなっていく段階にあります。

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