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用語集

SST法

細胞外に輸送される分泌タンパク質や細胞膜表面タンパク質は、抗体医薬の標的分子として着目されています。分泌蛋白質やI型膜タンパク質のアミノ末端には疎水性アミノ酸に富む領域があり、この部分をシグナルシーケンスと呼びます。シグナルシーケンストラップ法(Signal Sequence Trap法)は、この配列に着目してcDNAライブラリーから分泌タンパク質や膜タンパク質を分子細胞生物学的に選別・同定する手法です。具体的には目的の細胞や組織から作製したcDNAライブラリーをレトロウイルスを利用して培養細胞に導入し、シグナルシーケンスを含むcDNAが導入された細胞のみが生き残ることを利用します。また、得られたSSTクローン細胞の細胞表面には目的の分泌蛋白質や膜蛋白質の細胞外領域が発現しているため、その細胞を免疫原にしてモノクローナル抗体を作製することも可能です。

RIP-Chip

タンパク質はRNAの情報をアミノ酸に翻訳して作製されます。この翻訳やRNAの安定性の制御には様々なRNA結合タンパク質(RNA-binding protein)が関与しています。RIP-Chipとは、細胞抽出液中のRNA結合タンパク質を特異抗体によって免疫沈降(immunoprecipitation)し、RNA結合タンパク質に結合するmRNAやマイクロRNA(miRNA)をDNAマイクロアレイ(チップ、chip)を用いて解析する技術です。このRIP-Chip解析を利用して、既知のRNAと同じ挙動を示す未知のRNAの情報が得られることから、新規創薬ターゲットの探索に寄与することが期待されます。

エピジェネティクス

タンパク質の発現には、ゲノムDNAの(先天的)情報だけでなく、ゲノムDNAのメチル化やヒストンのメチル化、アセチル化、そしてユビキチン化などの後天的な修飾が大きく関わることがわかってきました。この後天的な修飾による遺伝子発現制御を研究する遺伝学の新しい領域をエピジェネティクス(epigenetics)と呼びます。DNAの塩基配列の変化(変異)を伴わずに病気のなり易さなどの違いが出ることから脚光を浴び、活発な研究が進められています。

iPS細胞

人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell)は、分化した体細胞に数種類の遺伝子(Oct3/4・Sox2・Klf4・c-Myc)を導入することで未分化な分化万能細胞に人工的に戻された細胞です(リプログラミング)。iPS細胞は胚性幹細胞(ES細胞)のように様々な細胞に分化する分化多能性と、細胞分裂を経てもこの性質を維持する自己複製能を併せ持っています。2006年に京都大学の山中伸弥教授らによってマウス線維芽細胞で初めて作られました。患者自身の体細胞からiPS細胞を作ることが可能であるため、これまで移植医療や再生医療において問題となっていた拒絶反応を回避することが期待されます。また、受精卵を利用するES細胞とは異なり、倫理的な問題もほとんどありません。最近では、幹細胞に存在する3種類のマイクロRNAで処理することによってゲノムを傷つけずに幹細胞(mi-iPS細胞)を作製する技術や、さらにはiPS細胞を経ずにヒトの皮膚細胞を神経細胞に変換するダイレクト・リプログラミング法も開発され、再生医療分野では目覚ましい展望が開かれています。

粘膜免疫

常に外環境にさらされている腸管、鼻腔、気道の粘膜は、細菌やウイルスなどの病原体に対して内側から働く防御システムがあり、外分泌液には粘膜免疫の主役である免疫グロブリンA(IgA)が含まれています。腸管リンパ組織であるパイエル板にはM細胞と呼ばれる外来抗原を取り込む特殊な細胞が存在します。パイエル板の内側に運ばれた抗原は近傍の樹状細胞などの貪食細胞に受け渡され、ペプチド断片に分解されます(抗原ペプチド)。MHC分子とともに細胞表面に提示された抗原ペプチドを介してT細胞やB細胞が活性化され、最終的に分泌型IgAを主体とする粘膜免疫応答が起こります。

オートファジー

自食作用(Auto(自己)+phagy(食べる))は、細胞内に蓄積した異常なタンパク質や古くなった細胞内小器官を丸ごと分解・除去するバルク分解系です。細胞が飢餓などのストレス環境下におかれると突如、細胞質中に隔離膜と呼ばれる扁平な袋状の膜画分が出現し、湾曲しながら伸長して細胞質やオルガネラを包み込みます(オートファゴソーム)。次にオートファゴソームは蛋白質分解酵素を豊富に含むリソソームと融合し、その内容物が消化されます。生じたアミノ酸などは栄養源としてリサイクルされます。酵母で発見されたオートファジーですが、高等動物においては、飢餓応答のみならず、プログラム細胞死、発生、老化、疾患の発症、がん化抑制、抗原提示、感染防御などにも関わっています。

関節リウマチ

原因不明の炎症性自己免疫疾患の一つで、免疫系の異常な活動によって手足の関節が腫れて痛み、進行すると軟骨や骨が破壊されて関節が変形し、放置すると生活に支障を来たすこともあります。疲れやすさ、脱力感、体重減少、食欲低下などの全身症状を伴い、悪性関節リウマチでは皮膚・心臓・肺・消化管などでの血管炎、発熱や心筋梗塞などが引き起こされます。診断には血清中のリウマトイド因子や抗CCP抗体などの測定が行われます。治療には非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、メトトレキサメートなどの抗リウマチ薬に加えて、タクロリムスなどの免疫抑制剤や、炎症のもとになるサイトカインを阻害する抗体医薬などが使われています。また、抗体産生細胞であるB細胞を標的とした抗体医薬(リツキシマブ)による効果も期待されています。

データマイニング

マイニングとは鉱山での採掘を意味し、データマイニングは大量のデータの集合を網羅的に解析して各項目間の隠れた相関関係やパターンを探し出すことで、有用な知見・未知の仮説を発見する技術です。情報処理技術の発展に基づく最近のデータマイニングでは、様々な形式が混在する数千ギガバイトにもおよぶデータを様々なアルゴリズムによって処理することが可能です。発想を転換したグループ分けを通して新たな情報を得ることもできます。

コンパニオン診断薬

患者さんそれぞれに個性があるように病気の性格も実は様々で、薬が効く患者さんと効かない患者さんがいます。コンパニオン診断薬とは薬を投与する前に、効果が期待される患者さんや副作用の少ない患者さんを選別したり、あるいは薬の投与量を調節するために治療薬と併用して使われる診断薬です。また、新薬開発の段階でコンパニオン診断薬を利用して治験対象を効果が期待される患者に絞り込むことで、低リスク・低コストかつ短期間に新規の医薬品を開発することが可能になります。コンパニオン診断薬を始めとするテーラーメイド(個別化)医療の推進は、治療薬の奏功率の向上や無駄な投薬の抑制に役立つことが期待されます。

KRAS遺伝子

がん原遺伝子のKRAS (K-ras) 遺伝子は、GTPase活性をもつ低分子量Gタンパク質p21をコードしています。細胞のがん化に伴ってKRAS遺伝子に突然変異が起きるとp21が常に活性化状態となり、その結果、腫瘍細胞の細胞分裂が異常に活発化することが知られています。膵臓がんでは約82%、大腸がんで約40%、肺がんでは約20%の患者さんの腫瘍においてKRAS遺伝子変異が見つかっています。KRAS遺伝子のコドン12や13の変異があるがん患者さんには上皮増殖因子受容体を標的とする抗体医薬(セツキシマブ、パニツムマブ)が効かないことが報告されています。

多発性骨髄腫

様々な感染症に対する生体防御機構の一つとして、白血球の一種である形質細胞は膨大な種類の抗体(免疫グロブリン)を産生します。形質細胞の多くは骨髄に存在しています。多発性骨髄腫とは、この形質細胞が腫瘍化して異常増殖する病気です。多発性骨髄腫では特定の免疫グロブリンだけが産生されるため、抗体の種類が激減し、感染症にかかり易くなります。加えて、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨の痛みや損傷、倦怠感や息切れなどの症状も伴います。治療には抗がん剤療法、放射線療法、自家造血性幹細胞移植が行われます。

フリーライトチェーン

人の体に細菌やウイルスなどが侵入すると、これらの病原体を撃退するために抗体(免疫グロブリン)が作られます。抗体は、分子量が異なる重鎖と軽鎖が2本ずつ結合してできており、さらに軽鎖にはカッパ鎖とラムダ鎖の二種類があります。免疫グロブリンを産生する形質細胞(白血球の一種)は軽鎖を重鎖よりも多く細胞外に分泌するので、血液中には余分な軽鎖が遊離軽鎖(フリーライトチェーン)として存在します。血清中のフリーライトチェーンのカッパ鎖とラムダ鎖の比率は、多発性骨髄腫を始めとする単クローン性ガンマグロブリン血症の診断、治療方針、治療効果、そして予後予測の指標になります。

エピゲノム

ヒトの体は約60兆個の細胞から成り、皮膚、心臓、神経などを構成する様々な細胞は全て同じ遺伝子(ゲノム)を持っています。1個の受精卵が約200種類の細胞に分化して組織・器官が発生する過程で、約2万個の遺伝子のスイッチのオン・オフが精妙に制御されています。更に、加齢、栄養状態、ストレス、病気によって、ゲノムDNAやDNAに結合する蛋白質ヒストンはメチル化などの修飾を受けます。こうしたゲノムの後天的修飾(エピゲノム)は糖尿病や肥満などへのなり易さ・体質に影響を与えることが判ってきました。エピゲノムによる遺伝子制御の仕組みを理解することにより、新たな治療薬を開発することができます。

がんペプチドワクチン

がん細胞に発現するがん特異的なタンパク質は細胞内でペプチド断片に分解されると、MHCクラスI分子と共にがんの細胞表面に提示されます。すると、細胞傷害性リンパ球(CTL、キラーT細胞)がこのがん抗原ペプチドとMHCの複合体を認識して活性化し、がん化した細胞を攻撃します。体が備えているこの仕組みを利用したのががんペプチドワクチンです。がんに特異的ながん抗原ペプチド(アミノ酸8~10個程度の大きさ)を皮下注射することで、がんに対する細胞障害性リンパ球の数や能力を高め、がんを治療することが可能になってきました。

МHC

主要組織適合性遺伝子複合体(major histocompatibility complex, MHC)は獲得免疫の中心となるT細胞を活性化するために必要な分子であり、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)と呼びます。MHC分子には二種類あります。一つは細胞内で発現したタンパク質(がん抗原ペプチドやウイルス由来ペプチドも含む)を分解して細胞表面に提示するMHCクラスⅠ、もう一つはマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に多く存在し、外部から取り込んだ病原体を分解して提示するMHCクラスⅡです。MHCは個人差の大きい遺伝子群で、型の違うMHC分子(たとえば他人のMHC分子)を発現する細胞をT細胞が見つけると、激しく攻撃するような免疫反応が起こります。これが臓器移植における拒絶反応です。

抗体医薬

抗体医薬とは、抗体(免疫グロブリン)が特定の抗原を認識する抗原抗体反応を利用した医薬品で、正常な細胞・組織も攻撃(作用)してしまう従来の化学療法薬に比べて圧倒的に副作用が少なく、また体内半減期が長いため、効果が持続する分子標的治療薬として注目されています。抗体医薬の作用は様々です。過剰な増殖因子やサイトカインの活動の阻害、抗原抗体反応を介した細胞死の誘導、また、抗体の定常領域を認識する免疫細胞や補体を活性化することで抗原発現細胞を駆逐することができます。近年では抗体に毒素を結合させた抗体医薬も開発されています。

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