株式会社 医学生物学研究所



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プレスリリース 2011年

2011年9月1日

多発性骨髄腫などの検査薬「FREELITE(フリーライト)」保険適用のお知らせ

株式会社 医学生物学研究所(本社:名古屋市中区、代表取締役社長:佐々木 淳)は、このたび9月1日付で、多発性骨髄腫などの単クローン性ガンマグロブリン血症の検査薬として、血清中の免疫グロブリンの遊離L 鎖(フリーライトチェーン、以下「FLC」)を特異的に測定する臨床検査薬、「FREELITE κチェーン」及び「FREELITE λチェーン」が保険適用になりましたことをお知らせいたします。

【血清フリーライトチェーン測定の有用性】

血清中の遊離L鎖の測定は、多発性骨髄腫をはじめとする単クローン性ガンマグロブリン血症の診断・治療方針決定治療効果判定・予後予測に有用とされています。これまで、単クローン性ガンマグロブリン血症の診断には、電気泳動法による血清中の単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)や、尿中のベンスジョーンズ蛋白の測定が行われてきましたが、いずれも感度、測定時間などの面で課題がありました。

免疫グロブリン

本検査薬は、免疫グロブリンでは露出しておらず、遊離L鎖にのみ露出している部分(Hidden Surface)に特異的に反応する抗体を開発したことにより、血清中の遊離L鎖を特異的かつ迅速に定量測定することができるようになり、測定感度も従来法に比して100倍以上と改善されました。このため、すでに欧米では診断目的のみならず、治療効果判定を含む疾患のモニタリングに積極的に利用されており、日本においても「日本骨髄腫患者の会」をはじめとして体外診断用医薬品の認可が強く望まれていました。

近年、大量化学療法や新規生物学的治療製剤の出現によって、骨髄腫における完全寛解(Complete Response、以下「CR」)の頻度が高まっています。そこで、国際骨髄腫ワーキンググループの提唱した新たな治療効果判定基準では、さらに厳密な完全寛解としてstringent CR(sCR)が定義されましたが、sCRの判定基準には2種類の遊離L鎖(κ鎖、λ鎖)の比率(FLC比)が正常であることが含まれており、本検査薬はこの測定に有用です。

また、血清FLC比の正常化は生存期間延長に寄与するとの報告もあり、本試薬が製造販売承認(2010年7月9日付)及び今回の保険適用により、わが国の臨床現場で広く測定されていくものと考えられます。

なお、「FREELITE κチェーン」及び「FREELITE λチェーン」の年間売上高は保険適用2年後2億円を予想しております。

本件による業績への影響は現時点において軽微であると考えておりますが、今後業績の見通しに修正の必要が生じた場合は速やかに開示いたします。

製品の特徴

・多発性骨髄腫をはじめとする単クローン性ガンマグロブリン血症の診断補助検査薬です。

・血清中のκFLC、λFLCのみに特異的に反応する抗体を用いており、既存の測定方法に比べて100倍以上の検出感度を有しています。

・血清中のFLC濃度は形質細胞によるFLC産生を直接かつ鋭敏に反映するため、病勢をリアルタイムに反映することができます。

・ラテックス比ろう法の自動分析機を用いて、簡便かつ迅速に、血清中のκFLC、λFLCそれぞれの定量値を得ることができます。

測定意義

・本検査薬を用いることにより血清中のκFLC、λFLCを特異的かつ高感度に検出できることから単クローン性ガンマグロブリン血症の診断率が既存の測定方法より向上し、とくに従来の検査ではM蛋白を検出することが困難であった非分泌性骨髄腫やALアミロイドーシスを診断する能力が高くなります。

・半減期が完全型免疫グロブリンより短いことから病勢をリアルタイムに反映し、海外ではすでに治療経過の評価方法としての有用性が確認されております。

・微量M蛋白分泌性(Oligoclonal)骨髄腫、非分泌性骨髄腫、ALアミロイドーシスの様な微量M蛋白産生疾患と、MGUS、SMM(くすぶり型骨髄腫)、SPB(孤立性形質細胞腫)のような症候性骨髄腫へ進展する可能性のある疾患の予後予測、進行予測のマーカーとして海外ではすでに使用されております。

・血清の取り扱いは尿より簡便であり、また血清中のFLCは腎機能の影響を受けないため病態を正確に反映できます。

用語解説

多発性骨髄腫:骨髄における形質細胞のがんです。形質細胞は、血液細胞の一つで、正常時は骨髄中1%未満の割合ですが、がん化して増殖することで、1種類の免疫グロブリン(単クローン性免疫グロブリン、M蛋白)を大量に産生します。これは正常な形質細胞がつくる免疫グロブリンを減少させ、免疫機能を低下させることとなるため、感染症を発生しやすくし、また造血作用を妨げるため貧血や息切れなどの症状、骨を壊す作用があるので骨の痛みや骨折、さらには腎臓など臓器の機能を低下させるなど、極めて多彩な症状を来たす病気です。

フリーライトチェーン(FLC):人体に細菌やウイルスなどが侵入したときに、これら外敵を攻撃するために産生される抗体(免疫グロブリン)は、2本のH鎖(重鎖、ヘビーチェーン)と2本のL鎖(軽鎖、ライトチェーン)から構成されています。免疫グロブリンを産生する形質細胞(白血球の一種)は、H鎖よりL鎖を多く分泌することから、余分なL鎖は遊離L鎖として血液中に放出されます。 また、L鎖にはκ(カッパ)鎖とλ(ラムダ)鎖の2種類があります。

ベンスジョーンズ蛋白:血液中の遊離L鎖は腎から尿中に排泄されます。これがベンスジョーンズ蛋白です。

寛解:骨髄腫など血液のがんにおいて、治療を行ってがん細胞が減少する効果が現れることを寛解(あるいは奏効)と呼びます。多発性骨髄腫では、単クローン性免疫グロブリンの減少率によって「部分寛解」「完全寛解」などに区分されています。

MGUS(Monoclonal gammopathy of undetermined significance):血液中にM蛋白を認めるが、骨髄腫などの腫瘍性疾患の存在が臨床的に明らかでない状態を指します。骨髄腫への移行例が少なからず存在していることが知られており、長期にわたる経過観察が必要な疾患です。意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症または良性単クローン性ガンマグロブリン血症とも呼ばれます。

保険適用の内容

測定項目:免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比

測定方法:ネフェロメトリー法

主な測定目的:免疫グロブリン遊離L 鎖κ/λ比の算出 (単クローン性ガンマグロブリン血症の診断補助)

主な対象:多発性骨髄腫など、単クローン性ガンマグロブリン血症の患者

保険点数:400点

判断料:免疫学的検査判断料 144点

【製品の概要】

製品名:FREELITE κチェーン、FREELITE λチェーン

希望小売価格:1キット 各120,000円

免疫グロブリン 免疫グロブリン


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