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先端診断薬でグローバルニッチを目指す

研究開発本部 遺伝子試薬開発ユニット
ユニット長 (2017年11月現在)
阿部 由紀子(Yukiko ABE
【略歴】 
2000年4月 ゲノムサイエンス株式会社*入社
  研究開発部
2008年1月 G&Gサイエンス株式会社
  研究開発部 部長
2010年8月 G&Gサイエンス株式会社 代表取締役
2016年4月 株式会社医学生物学研究所
  研究開発本部 遺伝子試薬開発
  ユニット ユニット長(現職)
*2005年4月 株式会社アドジーンと合併し、G&Gサイエンス株式会社に社名変更

営業本部学術部診断薬グループ
担当部長 (2017年11月現在)
金田 誠(Makoto KANEDA
【略歴】 
2008年4月 当社入社 研究開発部
2010年8月 同 学術部
2012年12月 MBL International(ボストン)出向
  Global program manager, IVD
2015年1月 MBL Europe(ブリュッセル)派遣
  Chief medical representative
2016年4月 JSR micro NV 出向(ルーヴェン)
  Clinical program manager
2017年4月 株式会社医学生物学研究所 営業本部
  学術部診断薬グループ
  担当部長(現職)

営業本部学術部診断薬グループ
副主任部員 (2017年11月現在)
諌山 拓也(Takuya ISAYAMA
【略歴】 
2009年4月 当社入社
2009年7月 営業本部診断薬事業部
2014年8月 営業本部学術部診断薬グループ
  副主任部員(現職)


今回は、進歩の目覚ましい遺伝子診断薬分野で活躍する遺伝子試薬開発ユニットの阿部由紀子氏、MBLと国内外の臨床・研究現場を橋渡しする学術部の諌山拓也氏、金田誠氏の3名に「先端診断薬でグローバルニッチを目指す」をテーマにお話を伺いました。


MBLが掲げる「先端診断薬でグローバルニッチを目指す」とは?

先端診断薬とはどのような診断薬を指すのでしょうか?
 「先端診断薬」の「先端」には「先端技術」と「医療現場の最先端」の2つの意味を込めています。MBLの目指す先端診断薬とは、「MBLの技術の粋を集めて実現する、医療現場で本当に必要とされる診断薬」なのです。
 MBLは長年にわたり免疫系の診断薬開発に取り組んできました。自己免疫疾患分野、遺伝子診断分野においては、高性能製品に仕上げることを得意としています。この技術は他社と比べても特徴的なため、世界的にも「先端」の診断薬を開発できると考えております。そして、「患者様に適切な治療法を、適切なタイミングで提供する」ための、診断薬を世の中に提供していきたいと考えております。


グローバルニッチとは?
 MBLがグローバル展開で注力していく分野は、製品開発に技術的なハードルがありながら、市場ニーズがそれほど大きくないような、決して大きくはないが一定の市場ニーズがあり、製品開発に技術的なハードルがあるために他社が手を出しにくいニッチな分野です。そういったニッチな分野において先端診断薬を発売していくことは、MBL社の企業理念「患者数の多い少ないにかかわらず、医療に役立つ、新しい検査薬を創出します」にも繋がります。
 一方で、市場の大きな分野においては、MBLの特許技術やノウハウを生かして、他社と協業する戦略をとっています。


グローバルニッチ市場に先端診断薬を販売していくには?
 グローバルニッチ市場での販売の際にハードルとなるのが、各国で異なる許認可体制への対応です。国によって診断薬として販売していくための承認基準も違えば、営業展開の方法も異なります。例えばヨーロッパは、EUという枠組みの中で、一見同じ医療制度と思われがちですが、実際には、各国で保険制度や試薬の採用までの流れが大きく異なります。現在、中国、アメリカ、ベルギーにも拠点を置いて、現地の情報収集や関係機関との連携に力を入れて認可を取得できる体制整備を進めています。海外に拠点を置き、直接各国の医療現場の生の声を収集することが、グローバルニッチな最先端診断薬を開発、展開する際に、さらに役立つと考えております。



日進月歩の遺伝子診断薬分野で戦略を研ぎ澄ます

遺伝子診断薬分野におけるMBLの存在とは?
日本人に必要とされる遺伝子診断薬を提供しています。  大腸癌の治療薬を選択するための診断薬であるMEBGEN RASKET™キット(メブジェン ラスケット キット)を、医療現場が必要とするタイミングで発売できたことで、MBLは遺伝子診断薬の分野において一定の評価をいただいたと考えております。遺伝子試薬開発ユニットでは、この評価を確固たるものにするため、医療現場におけるニーズをいち早く察知し、適切なタイミングで新製品を市場に投入していきたいと考えております。現在、大腸癌に限らず、癌の遺伝子診断分野の研究スピードは目覚ましいものがあり、MEBGEN RASKET™キットで分析対象とした遺伝子領域以外からも治療・診断の目安となる可能性がある箇所が学会で多く報告されています。これらの可能性を精査し、今後もグループ会社のG&Gサイエンス社とともに、MEBGEN RASKET™キット開発の経験を活かした製品開発を継続していく方針です。


MEBGEN RASKET™キットからまだまだ可能性が広がりそうですね。
 幸いなことにMEBGEN RASKET™キットの開発を通じて、この癌の遺伝子診断において世界でもキーパーソンとなる医療関係者から情報提供や研究サポートを受ける体制を構築することができました。そのため、今後の研究開発においても、最先端の情報を基に研究対象として有効な分野の絞り込みを有利に進めることが可能となりました。また、MBLの遺伝子関連製品の測定に使用しているLuminex®システムは、複数の遺伝子情報を同時に検出することができるマルチプレックス技術に対応した測定機器です。MBLグループは同システムを用いた試薬開発に約20年前から関わっており、高度なノウハウを蓄積しています。そのため、同技術を駆使した診断薬の開発スピードにおいては、一定の優位性を持っており、他社に先駆けて新製品を市場に導入できると自負しております。


長年の研究による技術蓄積と研究機関やキーパーソンとの強い関係性が強みになっているのですね。その他に研究開発における強みはありますか?
 MBLは、臨床現場での利用に耐えうる安定性・頑健性を備えた診断薬を開発するにあたり、製品化前の段階の試薬を、臨床レベルで評価できる衛生検査所を保有しています。遺伝子検査ではG&Gサイエンス衛生検査所が相当しますが、遺伝子検査のみならずMBLグループでは複数の分野において臨床レベルの測定ができるラボを保有しています。このことは、診断薬開発において非常に優位となる要素です。


Luminex®システム以外の技術への取り組みは?
 現在、遺伝子診断では、癌の分野に限らず広く様々な診断が行われています。今後は、Luminex®システムなど、検査設備の整った施設での使用を前提とした大型機器を使った診断だけではなく、例えば、遺伝子検査用の設備のない医療現場ですぐに測定でき、すぐに結果がわかり、その日のうちに患者様に診断結果を返せるような検査方法も必要になると感じております。また、特定の遺伝子だけでなくゲノム全体の遺伝情報を解析・蓄積することで、患者様一人ひとりの遺伝情報にあわせた治療を選んでいくという、まったく方向性の異なるニーズもあります。そのように遺伝子診断は、様々な検査のあり方や検査方法が乱立する過渡期を迎えています。MBLとしてもどういうシーンでどの技術が必要になるのかを見極めて研究を進めるために、遺伝子診断におけるあらゆる情報を把握していきたいと考えております。


世界への展開を見据えた技術の選定を行っているのですね。
遺伝子診断薬において、世界進出はどのような状況でしょうか?

 現在のMBLの遺伝子診断薬に関しては、グローバル展開が難しい分野といえます。それは、人種により遺伝子情報が異なっているためです。しかしながら、逆を言えば世界から日本の市場に参入する障壁も高いといえます。国内においては、恐らくMBLが一番多くの情報を網羅して研究を進めており、日本人に必要とされる遺伝子診断薬を提供しております。今後の海外戦略を考えた場合、日本国内向けに開発した製品についても、遺伝的・地理的に近い韓国・中国での活用を視野に入れて検討していきます。


グローバル展開に向けて注力していることはありますか?
 生物学の要素が強かった遺伝子診断薬分野ですが、読み取った膨大な遺伝子情報に対して、高い情報処理技術が求められています。今後はこのバイオインフォマティクス(生物学+情報学)への対応に力を入れる必要があります。日本ではバイオインフォマティクス分野の人材確保が困難な状況ではありますが、MBLでは研究機関の関係者の紹介などにより人材確保が可能です。今後は、人材教育やソフトウェアの整備にも力を入れていく方針です。



密な関係を築き幅広く情報収集する学術部

学術部ではどのような活動をされているのですか?
近年の臨床検査薬市場も踏まえて教えてください。

MBLの学術部は医療機関とのネットワーク体制を構築しています  主に新規製品開発に向けた情報収集と、医療機関への新たな臨床研究の提案を行っております。
 関節リウマチ(RA)や全身性エリテマトーデス*(SLE)などに代表される自己免疫疾患において、免疫学検査は主に疾患の診断のために利用されてきましたが、近年では病型分類や経過観察にも有効であることが明らかになり、免疫学的検査の普及が拡大しています。また有効な薬剤の登場により早期の診断・治療が可能となり、重篤な病態に陥ることを回避できるようになってきました。すなわち「自己免疫疾患の診断は急を要するものではない」という従来の概念が、「可能なかぎり迅速に診断する必要がある」という状況に変わってきました。このような状況の変化にも対応できるよう、論文検索や臨床医の先生方のお話を聞ける機会を大切にしています。
*全身性エリテマトーデスは再発・寛解を繰り返す全身性の炎症性疾患です。多くの臓器が障害されるので、全身に様々な症状が現れます。


臨床研究の提案ではどのような活動を行っているのですか?
 新たな診断薬を開発・販売するために必要不可欠な治験などの臨床研究は、医療機関、医療関係者の協力なくして進めることはできません。まったく新しいコンセプトの試験であれば、興味を持って協力していただけるのですが、既存研究の改良など、目新しさがない項目の試験になると、医療機関の研究メリットが弱いため、ご協力いただけないケースもあります。そこで学術部では、様々な情報を基に従来とは異なる切り口から、臨床的意義を見出し、臨床研究の企画・提案をしております。自己免疫疾患の臨床検査薬を例に挙げると、同じ検査項目でも「病気がどのような状態にあるか(疾患活動性)を把握する」「病気がこれからどのような経過をたどるかを予測する」という視点で新たな有効性を見出すことが従来と異なる切り口であると提案しました。



学術部におけるMBLの強みとは?
「先端診断薬」の「先端」には「先端技術」と「医療現場の最先端」の2つの意味を込めています。  医療機関とのネットワーク体制がしっかりと構築されている点です。特に、自己免疫疾患分野ではリウマチ科・皮膚科を中心に、合併症関連で関わる呼吸器内科、神経内科など複数の診療科と関係を築いております。さらに医療機関側からの情報提供や、新たな知見に対する見解を求められるという機会も多くいただきます。そのため、実際の市場ニーズや新たな知見などの情報を手に入れることができ、そこから新規開発のアイデアが生まれることもあります。そして、このネットワークを活かして臨床研究のパートナーリングとして、試験内容に応じて適切な医療機関と組むことにもつながっていきます。
 また海外においても、アジア、欧米に現地拠点を持って展開しております。現地で直接有効な情報をタイムリーに収集することができるため、海外発の新たな知見をいち早く手に入れ、開発に役立てております。


グローバル展開における学術部の活動は?
 海外市場では国内に比べて歴史が浅く、MBLの知名度が低いため、医療機関との関係強化を進めている段階です。なかでも、中国では日本国内のように医療機関との協力体制を築きつつあり手応えを感じています。欧米においてもMBLの製品性能は評価されており、過去の実績を糸口に新しい関係を構築しています。特に自己免疫疾患分野における皮膚科領域の評価は高く、知名度も向上しています。今後は、売り込む分野を特化させることで、現地の医療機関と対象分野におけるキーパーソンとのつながりを強化していく方針です。


海外においてもMBLの製品性能は評価されているのですね。
他にも大きく知名度を上げるための戦略はありますか?

 これまでMBL単独で現地の医療機関に売り込んできましたが、大手の製薬会社と協力して、診断薬と治療薬を合わせて提案することで、大きなプロジェクトとして展開を図り、欧米でMBLの存在感を示していきたいと考えています。


国内の取り組みを教えてください。
 国内ではグローバル展開の拡大を見据えて、社内の連携体制をさらに強化していきたいと考えております。学術部には、国内外から新製品を含めた市場のニーズや、臨床現場の課題抽出などの情報が集まっています。その情報をいかに早く・的確に分析して、新規開発項目として事業計画に落とし込み、社内に共有することが求められています。また、事業計画の提案後にも、各部門と連携して開発や改良にすばやく取り組める社内体制を構築していくことも、今後の大きなテーマです。


2020年に向けた見通しは?
 少子高齢化が社会的な問題になっている日本国内において、臨床検査薬事業はますます需要が高まると考えます。適切なタイミングで適切な治療を可能にすることで、無駄な治療や投薬を減らし、患者様の負担、医療現場の負担を減らすことができます。
 現行製品で特に注力している市場は日本と中国です。なかでも中国の医療現場は、MBLの現行製品を利用できる医療レベルに移行している段階です。そのため、現行製品についてもこれまで以上の需要を見込んでいます。短期的には日本とアジアの市場に注力し、欧米各国では製品開発に向けた情報収集、将来のグローバルニッチの先端診断薬の販売に対応する許認可・マーケティング体制を構築していきます。

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